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中小企業の「未払残業代倒産」が今後増加する?

更新日:2019年12月15日


こんにちは。

YKコンサルティングの河西です。


先日、大手コンビニチェーンで残業手当の未払が発覚し、その総額が4億9000万円にも上るとのことで大きなニュースになりました。


このニュース、中小企業経営者にとって決して対岸の火事ではありません。

むしろ、未払い賃金の問題に関しては、今後中小企業の経営にさらに大きな影響をもたらす可能性があります。



未払い賃金の請求可能期間、延長へ


これまで労働基準法により残業代などの未払い賃金があった場合、社員が会社に請求できるのは過去2年間分でしたが、

2020年4月の改正民法により、賃金に関する時効が原則5年となることから、

厚労省でも未払い賃金の請求に関して、5年を視野に入れながらまずは現在の過去2年を過去3年までさかのぼれるようにすることを検討しているとのことです。


このように、仮に過去2年間までだったのが過去5年間遡って請求できるようになったとすると、

未払い賃金の請求をされたときに会社側が支払う額はこれまでの2.5倍になるわけですから、その経営にもたらす影響は大きいでしょう。



「未払残業代倒産」が増加?


そもそも企業側がきちんと残業代などを支払っていれば問題ないのですが、

労務管理体制の不備により未払い賃金を請求されやすい環境が発生する可能性はあります。

以下のような条件に一つでも当てはまると、会社側が未払い賃金の請求をされるリスクは高くなります。


□ 労働基準法通り残業代を支払っていない

□ 残業代を手当に含んで定額支給している

□ 「分単位」で勤怠記録を残していない

□ 就業規則を作成していない

□ 従業員と雇用契約書を締結していない


これらに対してしっかりと体制を整えていないと、未払いの残業代等を過去にさかのぼって請求される可能性は高くなります。

しかも2020年4月以降は遡れる年数が増えるためその請求額もより高額となり、

今後「未払残業代倒産」する中小企業が増加するおそれもあります。


経営者は上記の点がしっかりできているか、改めて見直す必要があると思います。



助成金の申請が体制整備につながる


国から支給され、原則返済の必要のない助成金。

厚生労働省の助成金は、国の方針に則って従業員の労働環境を積極的に良くしていく企業に支給されますが、受給するには必要な条件があります。


☑ 従業員を1名以上雇用している

☑ 雇用保険等を収めている

☑ 会社都合解雇を半年以内にしていない

☑ 残業代未払等、労務違反を犯していない


助成金を受給するにあたっては上記の条件が必要となるうえ、


・就業規則がきちんと備わっているか?

・雇用契約書はそろっているか?


も重要になってきます。


つまり、助成金を申請する準備をすることは、先ほど出てきた「未払い賃金を請求されるリスク」を結果として減らしていくことにもつながります。


従業員が気持ちよく働ける環境を整えながら、国からの助成金を上手に受給できる体制を作っていく。

会社をより強くするひとつの方法といえます。


 

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